パラサイトシングルの高齢化と増加した3つの理由

パラサイトシングル

前回のブログで一卵性母娘について書きました。その時に出て来たワードが「パラサイトシングル」というワードでした。

1990年代後半、学卒後も親と同居して生活基盤を依存する未婚者が「パラサイト・シングル」と呼ばれ、社会問題となりました。著書「パラサイト・シングルの時代」でこの言葉を提唱した、中央大学文学部の山田昌弘教授はこの「パラサイト・シングル」が壮年未婚者の増加に影響していると指摘しているようです。

そして、山田教授によると、20年前に「パラサイト・シングル」だった若者の約3分の1が未婚のまま50歳を迎えているといいます。

壮年未婚者事情

この35年で親と暮らす中年未婚者が増加したそうです。総務省統計研究研修所の調査では、親と同居する未婚者数は、1980年の約1,600万人に対し、2016年は約1,900万人に増加したそうです。若年未婚者(20-34歳)、壮年未婚者(35-44歳)ともに増加傾向にあるそうです。

 


<総務省統計局調査表>

「親と同居の壮年未婚者(35-44 歳)」数は、1980 年には 39 万人で(35-44 歳)人口の僅か 2.2%であったが、1990 年は 112 万人で 5.7%、2000 年は 159万人で 10.0%と増加の一途をたどり、2010 年には 295 万人で 16.1%と急増し、2015 年は 308 万人で 17.0%と、実数、割合ともにピークに達したということです。

人口の多い世代である団塊ジュニア(1971 年~1974年生まれ)のうち、1971 年生まれの人が、2016 年から上の年齢層へ移行したため、35-44 歳の人口そのものが減少したようです。

山田教授は「結婚するよりも実家にいるほうが良い生活を送れることが理由だと話しています。また、総務省の統計では、国内の非正規雇用労働者は増加傾向が続いており、2017年は全体の37.3%に当たる、約2,036万人に上っているということです。

経済的に先が見通せない雇用形態でなかなか結婚に踏み切れず、親との同居を選ぶのはむしろ自然な流れなのではないかと思われます。

若年未婚者事情

「親と同居の若年未婚者(20-34 歳)」は、2016 年には 908 万人と減少傾向にあるものの、親との同居率は 45.8%と未だ高水準です。

「基礎的生活条件を親に依存している可能性のある人(20-34 歳)」の数は、減少傾向にあるものの、未だ 130 万人を超えています。親子共倒れのリスクが増大してくる時期は、35-44 歳と比較すると、未だ少し先のことではあるが、引き続き注視する必要があると警鐘をならしているようです。

「以前は若者の多くが正社員になれました。ところが現在は非正規労働者も多く、1980年代と比べて経済格差が広がったように感じます。また、女性は給与水準も高くはなく、半端な男性と結婚するなら「親と同居した方がましなのでは?」となってしまうようです。そして、条件を満たす相手がなかなか現れないため、結果未婚にもつながってしまうようです。」

総務省の統計では、国内の非正規雇用労働者は増加傾向が続いており、2017年は全体の37.3%に当たる、約2,036万人に上っているそうです。経済的に先が見通せない雇用形態でなかなか結婚に踏み切れず、親との同居を選ぶのはむしろ自然な流れなのかも知れません。

「私たちが学卒した昭和時代、世間には「大学を出たら独立すべき」とか「就職したら独立して当然」という風潮がありました。また、女性の場合は適齢期には結婚すべきという、暗黙の了解があったように私は感じていました。(我が家の場合は兄が早く結婚したため、兄家族との同居だったため、余計親からの圧力を感じたのかも知れません。)

現代社会は優しくなったのか、そういう言葉が聞かれなくなった気がしています。親世代の収入が1980年代に比べて裕福になり、「独立すべき」という圧力が低くなったことが理由でしょうか?子どもの数が減少していることも一因かも知れません。

昔は3,4人の子どもがいることも珍しくありませんでしたが、今は1,2人が殆どです。同居してくれることで家事を手伝ってくれたり、防犯面の安心にもつながるため、「一緒に住んでもいいかな」となるのも親側の自然な心情なのかも知れませんね。

上記の図1-3と2-3の青色部分である無就業、無就学者数(いわゆるニート)がかなりの高水準で目を見張るものがあります。

山田教授は「今のままでは将来、親が亡くなった後、孤立状態で家に残される独身者が何百万人と生まれる。現在の孤独死の比率は全体の3%程度ですが、今の親世代が死亡する30~40年後には、10~20%となる可能性もあります」と指摘されているそうです。

経済的な状況や介護問題、親族と住む居心地の良さなど、未婚者が親と同居する理由は人それぞれなのかも知れません。親を支え、また親に支えられて生きることは決して悪いことではありません。しかし、必ず「別れ」は訪れる訳です。一人残される時が必ず来るわけです。ですので、そうなる前に、心から信頼できるパートナーがいれば絶対心強いことと思います。

まとめ

パラサイトシングルが増えた要因には、様々な理由が絡み合っているのかも知れませんが、主原因としたら雇用形態の不安定による経済的理由でしょうか?

また、無就業、無就学者数(いわゆるニート)がかなりの割合を占めていること、それに関わらず少子化などが原因なのか「独立すべき」という圧力が低くなったことがあげられます。

親が亡くなった後、孤立状態で家に残される独身者にならないように、心から信頼できるパートナーが出来るように、心に留めて行動されることをお勧めします。

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